北海道その44(養老牛温泉・根室・釧路)

養老牛温泉に泊まるのは二度目だ。ネットを見たらシマフクロウが来ているという、旅館Ｆさんに泊まることにした。根室中標津空港には1日往復一便しかない。それが何か不都合があり機体を変えたので遅れたこともあり、メロディーロードだけ寄って、宿に入ることにした。 　メロディーロードは前にテレビでやっていたのだが、一定の速度で車を走らせると曲がなるのだ。レンタカー店で地図を貰い、走れば反対車線である。出発点まで走らせ、ユーターンして向きを変え、40キロで走ってみるとなるほど「知床旅情」が流れる。イマイチなのでもう一回挑戦である。大回りをしてもう少し速度を上げるとはっきりした。前奏はちょっと変だ。旋律はわかるが途中で音階が流れたりもして面白いが途中で終わってしまう。せっかくなのだから一曲まるまる作ってもらいたいものだ。 　 　さて、宿。養老牛では老舗、昔ながらの宿でゆったりできて、個人的にはこちらの方が前回宿泊した所より過ごしやすいような気がする。通された部屋は「すずらん」で例のシマフクロウが来るという生け簀が目の前だ。時間が早かったからだろう、貸し切り状態の温泉大浴場にゆったり浸かり、美味しい夕食を済ませ、八時過ぎには布団に横たわるという至福である。 　 　シマフクロウはこの二日来ていないと宿の人が言っていたので、無理かなあと思ったが、夕方の雷雨があがり、ツグミ、山鳩、カラ類が鳴いていたので希望はあった。日暮れ前に、カラスが生け簀に来ていた。夜は部屋のＴＶに生け簀が映し出されるので、それを旦那が見ていて突然「来ている！」と言い出した。 　 　シマフクロウは大きかった。生け簀の前に渡された木の両端にドーンと立っている。存在感だ。そのうち生け簀の中に一羽飛び込んで鱒を捕まえた。羽を広げたフクロウは異常な大きさだ。暗くてよく見えないが、捕まえた鱒を食べているようだ。そして音も無く飛び去っていった。広げた羽は二メートルにもなろうか。素晴らしい雄姿だ。 　もう一羽はなかなか池に入らない。ウチの部屋は明かりを消して静かに見ているが、周囲は騒がしく、それが気になるようである。お尻をこちらに向けているが、首はくるりと後ろまで回る。狙いを定めると前傾姿勢になり足踏みをする。まるで猫と同じだ。二度ほど生け簀に飛び込んで二度目には片足に鱒を掴んでいた。そしてやはり音も無く飛んでいった。 　 　しばし放心状態。アイヌで言うところの神様コタンクルカムイ。神様に会ったのだ。感動である。暗すぎて写真が取れなかったので以前画いた絵を張る。