北海道その28(苫前)

Ｒ232号からちょっと入ったところに道の駅「ほっと・はぼろ」がある。 　併設の「サンセットプラザはぼろ」は、温泉露天風呂、大浴場、プールなどの施設を備えた日本海が一望の宿泊施設である。 　満室でこちらは断念したが、バラ園には北方系バラなどが咲き誇り、海鳥センターでは、北海道の海鳥のことが全てわかる展示室や研究施設がある。 　トイレと売店を覗き、道の駅プレートを購入し、先へ進む。 　 　宿泊は「苫前温泉ふわっと」である。 　雲をイメージしたテント張りの屋根は東京ドームと同じ素材でできているという。 　ミニライブラリーもある、なかなか楽しい作りである。 　風呂は天然温泉で、何種類かあり、眺めが良い。部屋からも天売、焼尻島をはじめ、天気が良ければ利尻島も望め、日本海を一望できるので豊かな気持ちになれる。 　 　苫前で行きたかったのは「三毛別羆事件跡地」である。 　羆を調べていたらこの話に出会って、実際に行ってみたくなったのである。 　とにかく凄まじい話である。大正４年の冬に現れた巨大な羆による、計10人の死傷者を出した大惨事で、後に本や舞台にもなった。 　跡地は淋しい道が続き、音も無く不安である。入り口近くに本物の「クマ出没注意」の看板が見えたときは、引き返そうかと思ったくらいである。 　当時の家屋の復元とクマの模型があるが、周囲は鬱蒼とした森で、大変に心細い。車のラジオとエンジンをかけたままで見学する。 　土地の人が来訪し、少しほっとする。「クマは見ますか」と問えば「普通に見るよ」である。怖い。 　苫前郷土資料館へ行き、三毛別の事件のおさらいと、当時の暮らしぶりを知り、開拓者の大変さを想う。