沖縄その１（座間味）

もう８年前になると思うが、沖縄に行ってザトウ鯨に逢おうなんぞと思いたち、仕事の合間に行ってきたことがある。 　周囲の方々の中には、毎年行かれる人もおられ、私のように２日で帰って来て、二度と無理、というのは珍しいかもしれない。 　仕事はそれは忙しかったから、やっと休みって日にあんまり得意じゃない飛行機に乗って、那覇空港に降りたら匂いが違う。冬なのに明るいし、何だかトロピカルである。 　目的その１である鯨に逢うツアーは、予想に反して大きな船で、しかも波が４ｍとくれば、乗り物に弱い私はお約束の船酔いである。 　乗って10分、甲板で海を見ていたときはまだ良かったが、少し中へと思ったのがいけなかった。 　こんなに何食べたっけと思うほど吐く。見れば他にも不調の人でトイレはイッパイである。お腹も変になって、他のお客さんが船に慣れてくる頃になっても吐く。 　外国の方らしきお姉さんに「ガンバッテ！」と応援される。（汗） 　アナウンスが「進行方向右側にザトウクジラの尾が見えます」と告げているが吐く。 　吐きながら必死で横の窓から海を臨む。あ、黒いものが‥と見たかどうか怪しいうちに吐く。 　そして座間味島に上陸、お昼ご飯は冷たいお弁当である。ふらふらになりながら、船から降り、ツアーの最後について行き弁当を食べたのであった。 　食べられるところはすごいと自分でも思ったが、島から本島に戻る船では床にへばり付いて寝、さあ降りるぞと起き上がったら吐いた。もうゴメンである。 　その後、船の待合室で横になっても気分が優れないので、これはもうレンタカーに乗って宿まで行くしかない、と歩き出し、車に乗ったら元気になった。変な体質である。 　車は恩納村へ向かって走り出したが、途中、米軍の基地を横切らないとどうしても向こうへは行かれないことを知り、沖縄の現実をはじめて感じることができた。恥ずかしい限りである。 　沖縄の高速道路はよかった。道はとても空いており、パーキングも止め放題である。米軍の車が余裕で追い越していくのもまた一興、夜目に輝くナンバープレートがアメリカしている。 　ようやく宿に着いたが、暗かったこともあり、下調べもせずに予約したので、いろいろと驚くことになるのは、朝になってからであった。 　死んだように眠る。眠るように死ななくて良かったと思うくらい苦しい日であった。