奈良県その1(明日香)

姉が結婚することになったときに、しばらく姉妹で旅をすることもできないだろうと、姉が連れて行ってくれた奈良は斑鳩の里のことである。 　今を去ること25年ほどになろうか。 　 　現在は知らないが、当時は斑鳩の里めぐりの観光バスが奈良駅前から出ていたように記憶している。 　 　季節は真冬、クリスマスである。そして雪であった。 　 　観光バスは私たち姉妹の貸切である。バスガイドさんと運転手さんとの四人旅。 　ガイドさんは仕事とはいえ「何でこんな日に」と思ったことであろう。迷惑な顔をせずに付き合って下さった。当たり前だがプロである。 　コースは初夏や紅葉の頃ならば本当に美しく爽やかでよいところだ。しかし、雪である。 　このコースは外めぐりなので寒いのである。3〜4時間だったかとは思うのだが、ひたすら寒い旅であった。 　 　特に石舞台は、修学旅行でちゃんと見られなかったのでゆっくりと思ったのだが、辺りは吹きさらしで、氷室のようであった。 　初めて泊まるホテルや姉妹での旅という楽しさがなければ辛かったかと思う。 　25日の夜、駅前ではクリスマスケーキの安売りが始まっていて「半額でいいよ」と言われたが、ホールケーキを二人で食べるのはどうもと思い、買わなかった。 　今ならきっと食べられる。でもあそこまで寒いのはもうこりごりである。